□トランジスタとは、
トランジスタは最近の回路ではあまり見なくなりました。
古いエフェクターには増幅器として使用されていました。
またエミッタフォロアとしてもバッファーの役割で使用されています。
今では完全にオペアンプに代用されてしまいました。
ちなみに
トランジスタが来る前では、
真空管が使われていました。
未だに暖かい音が出ることなどから真空管アンプは未だに健在しますが、、、
エフェクターとして、
真空管はパーツ自体が大きく、耐震性に弱く、寿命が短いなどの欠点があります。
その真空管の代用品として使われるようになったのが小型のトランジスターです。
Transfer+Registerの造語で、回路上では「T」または「Q」と表示されます。
どちらも小さな力で大きな力をコントロールする働きを持つものなのですが、
真空管の方が柔らかみがある暖かい音と表現されるのに対し、
トランジスターの音ははジャリっとした硬い音と言われることがよくあります。
そこで真空管同様に電圧で大きな力をコントロールする電子パーツのFET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)を用いて増幅する方式も流行りました。
FETの回路上での表記もトランジスタ同様「Q」です。
トランジスターに比べて、FETを使った方が真空管に近い温かみが出ると言われています。
□トランジスタの働き
トランジスタには2つの働きをもつ
・スイッチ回路
・増幅回路
トランジスタではベース、コレクタ、エミッタの3端子が存在します。
ベースはもともとの信号が接続されています。
基準信号と思ってください。
コレクタは元電源がきます。エフェクターだと9Vが繋がっています。
コレクタは集めるという意味があり、パワーを常に集めていることをイメージしています。
エミッタは放出するという意味になります。
パワーを放出します。
水路でよく考えられますね。
ベースはコレクタエミッタの管と図のように横刺しで繋がれております。
ここに弁があり、通常は閉まっています。
しかしベース電流が0.6V以上流れるとその弁は解放されます。
ベース電位で押し開けるイメージですね。
覚え方としては
ダイオードが0.6V以上かけないと電気流れないですよね?
それと同じです。
トランジスタもPN接合なのです。
ダイオードと同じなのです。
したがって0.6Vをうまく利用すれば
スイッチでロジック回路が組めるわけです。
これをうまく利用してスイッチ回路を作ってみたり、
増幅回路を作ってみてください。
具体的な回路例はアナログ回路のページで紹介しています。
※ダイオードの順方向電圧を0.6Vと記載していますが、ものによっては0.7Vかもしれません。
仕様書を読んでご確認ください。
□増幅率
トランジスタは基本的に電流制御になります。
IC:コレクタに流れる電流
IB:ベースに流れる電流
エミッタに流れている電流Ieは
Ie = Ic + Ib (A)
となります。
これらの増幅率をhfeと表記します。
hfe = IC / IB
となります。
□トランジスタの種類
○NPNとPNP
NPNとPNPの2種類が存在します。
電流がコレクターからエミッターに流れるものをNPN型とよび、逆にエミッターからコレクターに流れるものはPNP型と呼ばれます。
これらをうまく組み回せると
電源保持のフリップフロップ回路や一味違った増幅回路を作ることが可能です。
増幅回路についてはアナログ回路のトランジスタのところで1つ紹介しています。
NPN型とPNP型について詳しくはこちら
○ゲルマニウムとシリコン
トランジスターにはゲルマニウム製とシリコン製の2種類があります。
トランジスターはゲルマニウムから始まりましたが、ゲルマニウム製の方が熱に弱く、温度によって性質が変化してしまう。
熱に弱いことからシリコントランジスターが重宝されることになりました。
ただし、エフェクター界においては「ゲルマニウムの方が丸みのある歪み方をする」など好まれる場合もあります。
有名な2石増幅回路のエフェクター「FUZZ FACE」はもともとゲルマニウムトランジスターを使っていたことで有名で、自作でコピー品を作る人たちの中にはゲルマにこだわる人も少なくありません。
○ミュートトランジスタ
トランジスタのスイッチロジックを使用したミュートを消すための専用のトランジスタが存在します。
これらはリバースhfe(hfer)が高い事、ON抵抗が少ない事が特徴となっています。
詳しくはこちらをご覧ください。