· 

9Vから18Vへ昇圧回路作成


最近昇圧エフェクタを見かける様になりました。

昇圧系の元祖といえば私はピックアップのEMGのパワーを2倍の18Vでうごかすことですが、エフェクターにもその技術が使われていたとは、、、

と言った様な感じです。

 

今回は昇圧系回路の紹介をしてみたいと思います。

いくつか昇圧も種類が選べるので自分の好みに合った昇圧ICを選ぶと良いと思います。

 

そもそも昇圧とは、

昇圧とは何のことだろうと思われる方も多いと思いますのでそこから紹介していきます。

昇圧とは電圧を上げることです。

電圧を上げてパワーを出そうという様なイメージですね。

しかしながら

基本的に音質と電圧の関係はパワーというよりもダイナミクス性の向上と考えた方が正しいですね。

 

 

通常エフェクターというのは片電源9Vが使用されているので、

せいぜい4.5Vに一度オフセットしてその±4.5Vの中で波形を形成しています。

詳しくは下記図でイメージしてください。

 

 

上記の図では波形を増幅した例を示しています。

この様に9V電源の場合はGAINを稼ぐにしても+4Vが関の山なのです。

 

これが18Vとなった場合はオフセット電位を9Vにしたとしても±9V波形を振れるので

ダイナミクスが大きくなると言うことができます。

なお増幅できる量も増えるのでパワーが増すという言い方も出来ます。

 

また考え方の違いとしてマイナス電源を作るという手法もあります。

波形を降らせる様にオフセットをせず

-9Vを新規で作ることによってそのまま波形編集を行う考え方です。

これについてはまた次回説明しましょう。

電源の昇圧原理とは、

基本的に

昇圧回路 = DCDCコンバータIC また、スイッチング電源

をイメージしてください。

 

専門用語ではデコデコと言います。

下記デコデコと記載

 

コイルに I = Vin / R の定常電流が流れておりコイルの両端A点、B点の電圧がVinの場合を初期状態として考えます。

SW2をOFFしてもコイルはI = Vin / R の電流を流し続けようとするので電圧はVin電圧から急峻に上昇してプラス側のサージ電圧を発生させることになります。この動作を制御して入力電圧より高い安定した電圧を生成するのが昇圧DC/DCコンバータとなります。

波形で示すと下記の様なロジックになります。

 

コンデンサによる出力電圧の平滑化

スイッチのON/OFFを行っていることから波形を見るとわかるのですが、かなりギザギザな波形になっています。

高速でON/OFFを行っているのでキーっとノイズも出る場合があります。

これらを平滑化し安定運用していくためにコンデンサを使って平滑化を行います。

 

降圧DC/DCコンバータではTon時間、Toff時間ともに出力負荷に電流を供給していましたが、昇圧DC/DCコンバータや反転DC/DCコンバータでは、Ton期間に出力負荷ヘ電流を供給していません。

 

降圧DC/DCコンバータではコイルとコンデンサでフィルターを構成しており、コイルも「平滑化」の役割を担っていましたが、昇圧DC/DCコンバータではコイルは平滑化には寄与しておらず、平滑化の役割はコンデンサのみが担っています。したがって比較的大きな容量のコンデンサが必要になります。コイルの役割は「エネルギーの蓄積と放出」のみとなります。

 

 

昇圧回路

9V → 18V昇圧ってぐぐると結構いろんな記事が出てきます。

スイッチングICやもう既製品のロジック基板まで売っています。

18Vに限らずとも10.5Vや13Vと刻むことも出来ます。

 

いくつか有名なICチップを紹介します。

これらの昇圧ICはチャージポンプと呼ぶ様です。

私たちはデコデコって言いますけど、、、笑

 

チャージポンプは下記の製品が実績がある様です。MAX1044CPA

TC1044SCPA

LT1054CP

TC7660CPA

TC7662BCPA

 

 

問題は回路ですが、

基本的にこれらのICもオペアンプを使うことと同じで

・電源

・GND

・入力端子(プラスマイナス)

・出力端子(プラスマイナス)

さえ確保してしまえば動きます

 

あまり複雑に考えない様にしてくださいね。

 

仕様書は見てないのでアレですがざっくり下記の様な配線イメージになると思います。

 

 

 

 

この様なイメージでIC周りを設計するとうまくいくと思います。

フィードバックはダイオードもしくはコンデンサを入れておくと、

万が一静電気が起きたり、過電流が流れたりした際エラーを防ぐ事が出来ます。

 

他GNDからの逆流を防ぐダイオードも追加しても良いかもしれないですね。

 

 

今回は自作エフェクターに使える昇圧回路についてご紹介しました。

昇圧すると結構エフェクターのダイナミクスが変化するので表現力の幅が拡がります。

うまく弾ける人いいですが、

苦労する人が増えるのかな、、、

 

 

18Vに昇圧した時の注意点ですが、基板上の部品の耐圧は18V以上でなくてはなりません。

そこだけ事前に確認しておいてください。

18Vを作っても耐圧が15Vでは悲しいですからね。

 

コンデンサなどは安いものでは16Vの耐圧のものも多いので、しっかりと耐圧については考慮して自作を進めましょう。

 

 

以上です。

 

<戻る>