ギターの音色の設定パラメータの一つで、コンデンサという部品があります。
ボリュームノブの下にもう一つノブがあると思いますが、あれをトーンボリュームと言い、
音の高周波の成分をコントロールしています。
今回はトーンボリュームについて解説してみたいと思います。
トーンを絞る トーンを開くなんて言いますね。
これらは低域の成分をコントロールしているわけなのです。
低域の成分を出して高音域の成分をカットする。
もしくは低域成分をカットして高音域の成分を出す。
といった感じで、
元々が持っている音の成分のバランスを取るコントローラーの様なものなのです。
これはブースターとは違って成分を足すというものではございませんので、
元々の成分から高域成分を削って、低域の周波数を出しているということになります。
従って
トーンを絞るとはトーンボリュームをゼロにして、高周波な音をカットして、低域の音を出すということ
トーンを開くということは、トーンボリュームを上げて、低周波のカット領域を減らす方向に持っていくということになります。
それでは接続図から回路の要素をみていきましょう。
これはただのRCフィルターなんですね。
フィルター回路に関してはこちら
※上記回路図の乗数の数値は無視してください。
つまりトーン回路とは、
これは1次ローパスフィルタになります。
コンデンサの乗数を固定し、抵抗の乗数を可変抵抗器で上げ下げして低域を通す量を調整しています。
1次ローパスフィルターの式は下記になります。
fc = 1/2π×XkΩ×XuF [Hz]
ここでのfcは、カットオフ(遮断)周波数と言います。
一定の値のコンデンサをつけた際、
抵抗値を大きくすればカットオフ周波数は小さくなります。
逆に抵抗値を0に近づけるほどカットオフ周波数は大きくなります。
グラフにすると下記の様な関係性が見えてきます。
下記の図はBカーブの場合です。
1次ローパスフィルターの場合、
fcより高い周波数で20db/decの傾きで成分が減衰しています。
つまり、
ボリュームを0に近づけるほど、高成分の音がカットされ、もこもこした様な音になってしまう。
逆にボリュームを上げるほど、カットオフ周波数が下がり、低い周波数がカットされることになり、高成分が通過をしキラキラした様な音になるということになります。
基本的に
ローパスフィルターでは位相をおくらせる回路を構成しています。
低い音と高い音は周波数の速さで決まっています。
そのことから籠もった音というのは、位相が遅れた音になります。
音を低くするということは位相を遅らせること
つまり下記図の様に
元々の波形(緑の波形)に対しローパスフィルターを通した波形(青の波形)は黄色の矢印の角度ほど位相が遅れることになります。
コンデサーの乗数でローパスのFCを調整することができます。
1次フィルターの場合は下記の式の関係になりますので、
fc = 1/2π×XkΩ×XuF [Hz]
コンデンサの乗数を小さくすればするほど高域の成分はカットされにくくなり、よりきらびやかな音を奏でる事が出来ます。
オレンジドロップの様なフィルターコンデンサ、
セラミックコンデンサ
などの小さく精度の高いコンデンサが用いられるもの上記のロジックの根拠があるからなのです。
極論ですが、
きらびやかな音を求めるのであれば、
トーン回路をとってしまえば良いのです。
個人的にですが私は、トーン回路レスで使用しています。
トーン回路を排除することで音のボリュームを稼ぐ事が出来、成分カットの無いので、そのまんま高域の成分が殺される事なく、アンプに来ます。
プロのギターがワンボリュームが多いのもそこに根拠があるのではないでしょうか。
いくら抵抗の乗数やコンデンサの乗数を高くしても抵抗になってしまうので信号のロスが出てしまいます。
基本的にギター信号も物理なので仕方なのない事なのです。
ピックアップのパワーを求めるのであればトーン回路レスをお勧めします。
もし後からトーンが必要になっても、
基本的にギターアンプには3band EQがついています。
ここでのHighやLowを使ってうまく調節してやればいいのです。
トーンレスギターでもいくらでも調節は効くので、
こう考えると、トーン回路いらないのでは?と考えても良いのではないでしょうか。あくまでも提案です。
今回はトーン回路についてのご紹介でした。