西洋音楽の長い歴史の中で、イタリア語が楽語の主流になっていった理由には、
いくつかの要素が絡み合っています。
□理由1:記譜法定着のタイミング
そもそも、楽譜というもの、
つまり音楽自体や演奏の指示を書き残す方法記譜法が
現在の五線という形に定着したのが17世紀のイタリアでした。
□理由2:西洋音楽は教会で発展した
西洋音楽が確立されていった中世~ルネサンス期、
音楽は主に教会で発展しました。
当然、各地で活躍した作曲家や演奏家の多くは
教会関係の音楽家やその出身者が多かったのです。
そしてトップの教皇庁がローマにあった為、
教会関係ではイタリア語が主流でした。
□理由3:当時はイタリアが音楽の中心地
そして当時、イタリアは
ヨーロッパの音楽の中心地でもありました。
イタリア出身の優れた作曲家や演奏家が、
各国の教会や貴族のもとで活躍し、
最先端のイタリアの音楽が、
イタリアの記譜法と共に広がったのです。
こうしてイタリア語が楽語の標準になって行きました。
それにしても、イタリア語の楽語を日本人が聞くと、
何となくとっつきにくいですよね。
でも現地の人たちにとっては、
日常的な言葉なんだそうですよ(当たり前か)。
「ここは強く弾く、弱く弾く、歌うように弾く」
という具合に、簡潔で分かりやすくて良かったのだとか。
母国語でないといまいちピンときませんよね。
もちろん自国の言葉で表現した作曲家もたくさんいるんです。
ドビュッシーやラヴェルはフランス語、
マーラーなんかはドイツ語で細かい指示が書かれています。
となると、日本語が標準になったらいいのにとついつい期待したくなります。
本日は以上です。